「今年は何人採れるだろう」という不安をなくす ~新卒採用を年間5名から15名以上に安定させた、中小製造メーカーの採用改革~

取組み事例

はじめに:「採用できる年」と「できない年」が繰り返される苦しさ

「良い年は20名採れるのに、悪い年は5名しか採れない」

こうした採用数のバラつきに悩む中小・中堅企業は、製造業を中心に非常に多く見られます。採用が計画通りに進まない年は、中途採用で補填しようとするものの、即戦力不足は否めない。現場の負担は増え、既存社員のモチベーションにも影響が出る。そんな悪循環に陥っている企業も少なくないでしょう。

今回ご紹介するのは、まさにこの課題を乗り越えた、ある中小製造メーカー(非上場・売上数百億円・従業員数百名)の事例となります。2023年からオクトーリアの支援を開始し、新卒採用数を年間15名以上で安定確保することに成功しました。

採用チャネルの見直しと選考フローの整備——この2つの改革が、どのように「採用の安定」をもたらしたのか。具体的なプロセスとともに解説します。


支援前の状況:「たまたま採れた」を繰り返す採用活動

エントリー数の急減と採用チャネルの硬直化

支援開始前、この企業の新卒採用は就職ナビサイト(リクナビ・マイナビ)への掲載のみに依存していました。しかし、採用市場の変化とともにナビサイトの効果は年々低下。エントリー数は5年間で200名から80名へと60%減少していました。

年間の掲載費用は毎年上がっており、費用対効果は悪化の一途をたどっていました。

地方に拠点を置く企業ゆえ、都市部の学生へのリーチも限られており、「知名度が低いから仕方ない」と半ば諦めの空気が漂っていたといいます。

選考フローの複雑さが優秀な学生を逃していた

採用チャネルの問題だけではありませんでした。選考フローにも大きな課題がありました。

支援前の選考ステップは、エントリーから内定まで8段階・平均2.5ヶ月。筆記試験を含む複数の選考ステップが学生の負担となり、各ステップで10〜20%が離脱。特に1次面接後の辞退率は40%にのぼっていました。

内定承諾率も50%前後にとどまり、「内定を出しても半分は辞退する」という状況が続いていました。辞退の理由を把握する仕組みもなく、改善のサイクルが回せていませんでした。

データなき採用活動の限界

最も根本的な問題は、採用活動がデータに基づいていなかったことです。「今年はたまたま採用できた」「今年はなぜか採れなかった」という感覚的な振り返りしかできず、再現性のある採用活動が構築できていませんでした。


オクトーリアの支援:「チャネルの最適化」と「選考フローの整備」で採用を変える

STEP 1:過去5年のデータを徹底分析し、課題を数値で特定する

まず着手したのは、過去5年間の採用データの徹底分析です。エントリー数・説明会参加数・選考通過率・内定承諾率を可視化し、「採用できた年とできなかった年の違い」を数値で特定しました。

分析の結果、明確な事実が浮かび上がりました。

  • エントリー数減少の主因:就職ナビサイトの掲載順位低下(原稿の更新頻度・内容の問題)
  • 最も辞退率が高いステップ:1次面接後(40%が離脱)
  • 内定辞退の最多理由:「企業理解が不足していた」

「なんとなくうまくいっていない」という感覚を、数値と事実に変換することが、改善の出発点です。

STEP 2:マルチチャネル戦略で母集団を3倍以上に拡大する

ナビサイト一本頼みから脱却するため、オクトーリアは複数チャネルを組み合わせたマルチチャネル戦略を提案・実行しました。

逆求人サイトの導入(OfferBox・dodaキャンパス)では、企業側から学生にスカウトを送る手法を採用。500通以上のスカウト送信から30名との面談を実現しました。

大学・高専へのキャリアセンター訪問では、地元の大学・高専を定期的に訪問し、推薦枠を年間10名確保。地方企業ならではの「地域との繋がり」を採用力に変えました。

オープンカンパニーの企画・運営では、参加学生60名のうち70%が本選考にエントリー。企業を深く知ってもらう機会を設けることで、エントリーの質も向上しました。

SNS・採用広報(Instagram・X)では、社員の日常や職場の雰囲気を継続的に発信し、学生との接点を増やしました。

これらの施策を組み合わせた結果、総エントリー数は80名から250名以上へと3倍以上に増加。1エントリーあたりのコストも40%以上も削減されました。

STEP 3:選考フローをシンプルにし、学生の熱量が高いうちに選考を完結させる

母集団が拡大しても、選考フローが複雑なままでは優秀な学生を逃し続けます。オクトーリアは選考フローを8段階から6段階へと整理し、エントリーから内定までの期間を2.5ヶ月から1ヶ月に短縮しました。

改善の主なポイントは4つです。

① 筆記試験の廃止:学生の負担を軽減し、筆記試験後の辞退率を30%からゼロに。面接での見極めを強化することで、選考の質は維持しました。

② オンライン説明会の導入:全国どこからでも参加できる環境を整備。参加率は60%から85%に向上し、録画配信により都合が合わない学生もフォローできる体制を構築しました。地方企業が都市部の学生にリーチするうえで、オンライン活用は特に効果的でした。

③ 面接回数の削減:3回から2回に削減(最終面接は維持)。各面接の質を高め、1回で深く見極める設計にすることで、選考期間の短縮と見極め精度の向上を両立しました。

④ 内定者フォローの強化:内定後の定期的なコミュニケーション、内定者交流会、先輩社員との交流会を実施。内定承諾率は50%から85%へと35ポイント向上しました。

STEP 4:採用広報・ブランディングで「選ばれる企業」になる

採用チャネルと選考フローの整備と並行して、採用広報・ブランディングの強化にも取り組みました。

採用サイトをリニューアルし、若手社員のインタビュー動画や1日の仕事の流れ・キャリアパスを掲載。「地方企業だからこそできること」を前面に打ち出し、大手企業との差別化を図りました。

オープンカンパニー(1day型)の企画・運営では、参加学生の70%が本選考にエントリー。オープンカンパニー経由の内定承諾率は80%に達し、採用の質・量ともに大きく向上しました。


支援後の成果:「採用の安定」が組織の安定につながる

採用数の安定化

最も重要な成果は、年間15名以上の採用を安定確保できるようになったことです。「良い年・悪い年」のバラつきが解消され、計画的な組織づくりが可能になりました。

母集団形成の成功

エントリー数は80名から250名以上へと3倍以上に増加。採用チャネルの多様化により、特定媒体への依存リスクが解消され、地方企業でも全国から応募が集まる体制が構築されました。

選考効率の向上

選考期間は2.5ヶ月から1ヶ月へと60%短縮。各ステップの辞退率も10〜20%から5〜10%へと低下し、学生からの満足度も向上しました。「選考がスムーズで分かりやすかった」という声が増えたことは、採用ブランディングの観点からも大きな成果です。

採用コストの最適化

1名あたりの採用コストは130万円から75万円へと約40%削減。費用対効果の高い採用活動が実現しました。

組織への波及効果

採用ミスマッチの減少により、若手社員の定着率が向上。採用ノウハウが社内に蓄積され、「採用できる組織」としての自信が醸成されたことは、数字には表れない大きな成果です。


まとめ:採用の安定は「仕組み」と「チャネルの多様化」から生まれる

この事例から学べることは、採用の安定は「運」ではなく「仕組み」と「チャネルの多様化」によって実現できるということです。

ナビサイト一本頼みの採用から脱却し、逆求人・大学訪問・SNS・インターンシップを組み合わせたマルチチャネル戦略を構築する。選考フローをシンプルにし、学生の熱量が高いうちに選考を完結させる。内定後のフォローを強化し、内定承諾率を高める。

これらの取り組みは、決して特別なことではありません。データに基づいて現状を把握し、一つひとつの課題に丁寧に向き合うことで、採用は確実に変わります。

「毎年、採用数が読めなくて不安」「エントリー数が年々減っている」——そうした課題を感じている企業にとって、この事例が一つのヒントになれば幸いです。


「自社の採用チャネルを見直したい」「選考フローを整備して内定承諾率を上げたい」——そんな方は、ぜひオクトーリアにご相談ください。

現状分析から採用戦略の策定、実行支援まで、貴社の状況に合わせた一気通貫のサポートをご提供します。

初回のお打ち合わせは無料となりますので、お気軽にお問合せください。
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