GW明けに離職者が出やすい理由と入社後フォローで定着率を上げる方法
はじめに
「せっかく採用した新入社員が、ゴールデンウィーク明けに突然来なくなった」 そんな経験をお持ちの経営者・人事担当者の方は、決して少なくありません。厚生労働省のデータでも、新卒入社者の約1割がわずか3ヶ月以内に離職するという現実があります。採用にかけたコストと時間を考えると、これは企業にとって非常に大きなダメージです。
なぜGW明けに離職が集中するのか。そして、それを防ぐために企業は何ができるのか。本記事では、その構造的な原因と、今日から実践できる入社後フォローの具体策をわかりやすく解説します。
なぜ「GW明け」に離職者が出やすいのか
入社直後の”リアリティショック”が蓄積する時期
新卒・中途を問わず、入社直後の社員は期待と現実のギャップに直面します。これを「リアリティショック」と呼びます。入社前に抱いていた会社のイメージや仕事内容への期待が、実際の業務・職場環境・人間関係と食い違ったとき、強いストレスや失望感が生まれます。
入社してから約1ヶ月間は、新しい環境への緊張感や「頑張らなければ」という気持ちが、このギャップを一時的に覆い隠してくれます。ところが、ゴールデンウィークという長期休暇に入ると、その緊張の糸がふっと緩みます。実家に帰省したり、旧友と再会したりする中で、「自分は本当にこの会社でよかったのだろうか」と冷静に振り返る時間が生まれるのです。
休暇明けに出社することへの強い抵抗感—いわゆる「五月病」—は、こうしたリアリティショックの蓄積と、休暇中の内省が重なって生じます。この時期に離職を決断する社員が多いのは、決して偶然ではありません。
中小企業特有の”フォロー不足”問題
大手企業であれば、入社後研修が数週間〜数ヶ月にわたって組まれており、同期との横のつながりも自然と生まれます。しかし中小企業では、入社直後から現場に配属され、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)という名のもとで「見て覚えろ」スタイルになりがちです。
また、少人数の職場では上司や先輩も日々の業務に追われており、新入社員のメンタル面や適応状況を丁寧にフォローする余裕がないケースも多く見られます。「何か困ったことがあれば言ってね」と声をかけていても、新入社員側は「こんなことを相談していいのか」「迷惑をかけたくない」と感じて、悩みを抱え込んでしまいます。
こうした構造的なフォロー不足が、GW明けの離職リスクを高める大きな要因となっています。
採用時の「ミスマッチ」が後から表面化する
もう一つの原因として、採用段階でのミスマッチが挙げられます。求人票や面接で伝えた仕事内容・社風・待遇と、実際の職場環境に乖離がある場合、入社後1〜2ヶ月で「思っていたのと違う」という感情が強まります。
特に中小企業では、採用活動の中で自社の紹介やアピールに重きを置く傾向があり、なかなかネガティブな情報(残業の実態、業務の大変さ、組織の課題など)まで伝えきれないことがあります。しかし、入社後にそのギャップを感じた社員は、「最初から正直に言ってほしかった」という不信感を抱き、それが離職の引き金になることも少なくありません。
定着率を上げるために今すぐできる「入社後フォロー」の具体策
① 入社前から始める「オンボーディング」設計
定着率向上の取り組みは、入社初日からではなく、内定承諾後から始めるのが効果的です。これを「プレオンボーディング」と呼びます。
具体的には、以下のような施策が有効です。
- 内定者向けの情報共有:入社前に会社のカルチャーや業務の実態を伝える動画・資料を送付する
- 内定者懇親会の実施:入社前に職場の先輩社員と交流できる機会を設ける
- 入社初日のアジェンダ共有:「初日は何をするのか」を事前に伝えることで、不安を軽減する
入社前から会社との接点を増やし、「この会社に入って良かった」という感情を早期に醸成することが、GW明けの離職防止に直結します。
② 「1on1ミーティング」を仕組みとして導入する
入社後の定着において、最も効果的な施策の一つが1on1ミーティング(上司と部下の定期的な個別面談)の導入です。週1回または隔週1回、30分程度の時間を設けて、業務の進捗だけでなく、新入社員の気持ちや悩みを丁寧に聞く場を作ります。
重要なのは、この場を「評価の場」にしないことです。新入社員が安心して本音を話せるよう、上司側が「聞く姿勢」を意識することが大切です。「最近どう?困っていることはない?」という一言が、離職を踏みとどまらせるきっかけになることは珍しくありません。
1on1を形式的なものにしないためには、面接官・管理職向けの研修も合わせて実施することが効果的です。「どう聞けばいいかわからない」という上司側の不安を解消することで、1on1の質が大きく向上します。
③ 「期待値のすり合わせ」を入社直後に行う
入社後1週間以内に、上司と新入社員の間で「期待値のすり合わせ」を行うことを強くおすすめします。具体的には、以下の内容を話し合います。
- 会社が新入社員に期待すること(最初の3ヶ月で何を習得してほしいか)
- 新入社員が会社・仕事に期待していること(どんな仕事をしたいか、どう成長したいか)
- 不安に思っていること(率直に話せる雰囲気を作る)
この対話を通じて、双方の認識のズレを早期に発見・修正することができます。「言わなくてもわかるだろう」という思い込みが、ミスマッチを拡大させる最大の原因です。
④ 「メンター制度」で横のつながりを作る
上司との関係だけでなく、年齢の近い先輩社員がメンターとして新入社員をサポートする「メンター制度」も定着率向上に効果的です。上司には言いにくいことも、年の近い先輩には相談しやすいという心理は、多くの職場で共通して見られます。
メンターには、業務の教え方だけでなく、「新入社員の話を聞く姿勢」「適切なアドバイスの仕方」を事前にレクチャーしておくことが重要です。メンター自身が戸惑わないよう、簡単な研修やガイドラインを用意しておくと、制度がより機能しやすくなります。
⑤ 採用段階から「正直な情報開示」を徹底する
定着率を上げるための最も根本的な対策は、採用段階でのミスマッチを減らすことです。求人票や面接で「良い面だけ」を伝えるのではなく、仕事の大変さや職場の課題も含めて正直に伝える「リアリスティック・ジョブ・プレビュー(RJP)」という考え方が注目されています。
「正直に話したら応募者が減るのでは?」と心配される方も多いですが、実際には逆効果になることの方が多いです。入社後のギャップが小さいほど、定着率は高まります。また、厳しい現実を伝えた上で「それでも入社したい」と言ってくれる候補者は、入社後の定着率が高い傾向にあります。
採用ブランディングの観点からも、「正直な会社」というイメージは長期的に企業の採用力を高める重要な資産となります。
まとめ
GW明けの離職は、突然起きるものではありません。入社前からのミスマッチ、入社後のフォロー不足、リアリティショックの蓄積—これらが重なって起きる、ある意味「予測可能なリスク」です。
だからこそ、事前の対策が有効です。
- 内定承諾後からオンボーディングを始める
- 1on1ミーティングを仕組みとして導入する
- 入社直後に期待値をすり合わせる
- メンター制度で横のつながりを作る
- 採用段階から正直な情報を開示する
これらの施策を組み合わせることで、GW明けの離職リスクを大幅に低減することができます。採用コストを無駄にしないためにも、「採用して終わり」ではなく、「採用してからが本番」という意識を組織全体で持つことが、定着率向上の第一歩です。
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